紙コップは技術のかたまり!?
紙コップ使ったことがない人、いますか?
ジュースやお茶、コーヒーを飲むだけではなく、映画館でポップコーンを食べるときの容器やアイスクリーム、ヨーグルトなどでもしばしばお世話になっています。最近では、カップラーメンの容器も紙カップが使用されることが多くなりました。
紙コップや紙製カップ容器に使用されるのが、カップ原紙と呼ばれる紙です。
紙コップなんて、くるっと巻いて、底に紙を貼り付けるだけで簡単に作れるでしょ!と考える方、意外と多いと思います。
でも、そうではないのです!
カップ原紙には、紙パルプ業界が培ってきたテクノロジーが集積されているのです!
まず、多くの場合、水が漏れないように紙にポリエチレンと呼ばれる素材でラミネートされます。最近は生分解性のあるPBSという樹脂や植物由来のPLAという樹脂でラミネートされることもあります。また、樹脂の代わりに水溶性のコーティング材の開発も進んできます。
紙だけだと、水が漏れてしまうのでどうしてもラミネートが必要です。ラミネートすることにより、巻いた部分や底部分をしっかりと接着することができます。
紙自体にも、テクノロジーがあります。紙の断面から水分を吸ってしまうと、紙がふやけてしまい、カップが開いたりして崩れてしまいます。そうならないように、特に断面の耐水性に気を遣っているんですよ。
いちばん大事なポイントは、紙コップの口にあたる部分です。口に当たる部分は、優しく丸くカールしていますが、このカールがうまくいかないと、円周に必ず一箇所ある、繋ぎ目の部分からコップが開いてしまったりするんです。
だから、カップのカールの部分がうまく作れるように、なおかつ、コップとしてのしっかりした強度が保たれるように、絶妙な柔らかさと硬さを同時に実現できる紙を作っているんですよ。
厚さや強度も、使用する用途に応じて作り分け、氷をガンガン入れるアイス飲料に使うのか、あるいはホット飲料の場合は、持った人が熱さを感じにくいようにするのか、実は絶妙に計算されています。
カップラーメン用やホットコーヒー用では、表面にラミネートした樹脂を発泡させる技術も発展しています。
ヨーグルトやカップラーメン向けの場合は、フタ材をシールするために、トップのカール部分が平坦に作られていますが、これってすごい技術なんですよ!紙カップに入ったヨーグルトのフタがきっちりシールされているのは、この技術のおかげなんです。
ヨーグルトの紙カップには、まだ他にも秘密があります。ヨーグルトは酸性が強いので、一般のカップ原紙だと、紙が負けてしまい、トラブルの原因になります。そのため、ヨーグルト向けには中性pHで生産された耐酸性の特別な紙を使うんです。こういった技術は、国際的に見ても日本が先行しています。海外ではまだまだプラスチックのカップがヨーグルト向けに使用されていますが、日本では早くから環境にやさしい紙カップ化が進んでいます。
とはいえ、ポリエチレンでラミネートした紙は簡単にリサイクルできないんじゃないか、という話もあると思います。まだまだほとんどの紙コップはポリエチレンでラミネートされています。ラミネートした紙を再生紙原料として使用するのは簡単ではありません。焼却する場合も多いと思います。
しかし、当社グループのコアレックスHDでは、高いリサイクル技術があり、ラミ済みなどの難処理古紙を高品質なトイレットペーパーに再生しています。段ボールの材料になる段ボール原紙に生まれ変わることもあるんですよ。
紙を作る技術、紙から加工する技術、そしてまた別の形に生まれ変わらせて再利用する技術。
紙カップには、無限のテクノロジーと可能性が秘められています。
プラスチック削減のムーブメントの中、まだまだ紙コップや紙カップ容器の出番が増えそうです!
by Q太郎