合紙(あいし)、それは挟まれ、やさしく愛して守る紙
「合紙」の読み方、わかりますでしょうか。
答えは2つあります。
一つ目は「ごうし」。
接着剤や樹脂を使って2枚以上の紙を重ねて接着し、1枚の紙にすることを言います。熱いものでは5mmくらいまで重ねて、ボード状の紙を作ることができます。
二つ目は「あいし」。
そこには愛がある感じがしてかわいい響きですよね。
今回の「紙xエコ日記」では、この「合紙(あいし)」を取り上げてみたいと思います。
一言で「合紙(あいし)」と言っても、その種類は多種多様です。
わかりやすいところでは、印刷時の裏移り防止や数量確認の目安として、印刷物の間に挟むものがあります。
この場合は「あいし」の他に、「あいがみ」と呼ばれることもあります。
金属合紙も多く使用されています。
鉄や銅、アルミニウムは圧延工程や製品出荷の際に金属同士がお互いを傷つける可能性があります。それを防ぐため、金属と金属の間に紙を差し入れます。
金属が錆びないようにpHを中性に保つ必要があります。
それだけではなく、金属を細かく傷つけないように、異物が入らない紙質が求められます。
当然、金属を守るためのクッション性も必要です。
金属合紙の一種にステンレス合紙というものもあります。
銅のような柔らかい金属の場合は密度が低く、柔らかく仕上げた合紙が必要ですが、ステンレスのような硬い金属の場合は合紙も強度が求められます。
合紙が必要なのは金属だけではありません。
ガラスの製造工程や運搬時の保護にも多く使用されており、ガラス合紙と呼ばれています。
ガラスもまた多種多様です。
ガラスといえば窓ガラスなどに使用される建築用ガラスを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、自動車や鉄道などの乗り物用のガラスの運搬にもガラス合紙は使用されています。
また、テレビやスマホ、パソコンなど、現代人には手放せない液晶画面に使用される液晶ガラス向けの合紙は、合紙の中でも最も繊細と言って良いでしょう。
液晶ガラスは非常に薄く、非常に繊細です。
微細な傷であっても、それが原因で液晶画面が正しく表示されなくなったり、線が表示されてしまったりしてしまいます。
なので、液晶ガラス向けのガラス合紙は原料パルプを厳選し、微細な異物を徹底的に取り除いて抄紙する必要があるのです。
クッション性を保ち、しかも、一切の夾雑物の混入も許されない、職人芸の世界がそこにあるのです。
紙と液晶画面は、真逆の存在だと思われがちです。
デジタル化の進行やペーパーレスは一体ですが、実はそのスマホなどで毎日見ない日はない液晶画面やタッチパネルを作る際に、紙は欠かせないのです。
普段、あまり目にすることのない「合紙(あいし)」は実は日常生活に密接にかかわっているのです!
人を「愛し」、「合紙(あいし)」のようにやさしく生きていきたいですね!
by Q太郎