水で分解する紙!?水に溶ける紙!?
溶ける紙?
そういって思いつくのは、皆さん身近のトイレットペーパーではないでしょうか。
ですが、トイレットペーパーは実は溶けていません。
トイレットペーパーは、水に溶けているのではなく、繊維がバラバラになって水中分解し、溶けたように見えているだけです。
砂糖や塩などの調味料が溶ける事とは異なります。
実際にやってみると、トイレットペーパーを入れた水の中だと、繊維が水の中に残るので完全な透明にはなりません。
さらにいうと、トイレットペーパーはパルプのみで作られており、繊維同士の水素結合の間に水が入ると、バラバラになっている原理です。
赤ちゃんのおしりふきもトイレに流せるタイプがありますよね。これも同じ原理です。
かたや「水に流してはダメです!」と記載のあるティッシュペーパーは、紙を強くする増強剤が入っており、水に強く破れにくく、肌触りが良く弾力性のある紙となっています。
だから、鼻水をかんでも、紙の繊維は容易にバラバラにはならないのです。
それでは、「溶けやすい紙」って何?
ずばり「水溶紙」という紙です。トイレットペーパーとは違い、繊維がバラバラになるだけではなく、繊維そのものが水に溶ける性質です。
この水溶紙の使い道としては、手品や川に流す灯篭だけではありません。海上自衛隊が機密事項を水溶紙にメモして捨てているという話もあります。
また、水に溶ける性質を持たせた感熱水溶紙という紙もあります。
レシートなどで使われている感熱紙と同じように、熱で発色しますが、業務用のビールの樽など、使用後に洗い流せるというメリットがあります。
犯人が事件の鍵になるメモを水に溶かしてなくなり、真相究明が遠のく、というような展開の推理小説ってありそうですよね。
ところで、あれ、紙は作られるときに水を使用しているから、作っている時には溶けてしまうのでは?と疑問を持ったあなたは既に「紙博士」!!
水溶紙の紙の繊維はCMC(カルボキシ・メチル・セルロース)という、植物繊維でできた水溶性の物質で作られています。
CMCは、水にアルコールを混ぜると溶けない性質を持つため、紙を抄く時には水に溶けずに製造できるという原理なんです!
CMCは水に溶けるだけでなく、粘り気を強くする素材なので、アイスクリームやヨーグルトなどの食品や化粧品、接着剤、農業用途や工業用途など幅広く活用されています。
植物由来のセルロースからできていて、環境にやさしい素材なのです。
セルロース、素晴らしいですね!
水で分解する紙、そして、水に溶ける紙、面白いですね~。
推理小説やサスペンスの脚本を書く機会があれば、是非思い出してみてください!
by ビヤジマ