デジタル化の環境負荷はいかに?
コロナを機にデジタル化/ペーパーレス化がさらに加速していますが、欧米では企業が「Go Green」と称して消費者をペーパーレスに誘導する動きが散見されました。
これに対して一方的だとか、デジタル弱者を無視しているとか、消費者をミスリードしているという声が上がりました。健全です。
欧州の大手スーパーチェーンが長らく続けていた紙のチラシを廃止してデジタルチラシに移行する際に、その理由を環境負荷を減らす為だと説明し、紙の使用量が年間73,000㌧減り、70,000㌧のCO2、1.1百万㌧の水、380百万キロワットの電力を削減できると説明しました。
これに対して紙印刷関連の非営利団体が激しく反発しました。
曰く、デジタルメディア利用に必要なITインフラの維持整備には膨大な資源とエネルギーが投入されていて、その稼働にはこれまた膨大な電力が使用されており、端末機器の頻繁なモデルチェンジは再生が困難な大量の廃棄物(E-Waste)を発生させていることを指摘し、こうしたデジタルメディアの環境負荷を全く無視しているのは不公正だと批判しました。
最近、日本でも某・大規模スーパーマーケットがレシートをデジタル化するとのニュースがあり、「レシートが1割デジタル化されると年間78,000本の木を伐採から救う」という説明がされておりました。
消費者には分かり易い説明手法なのでしょうけど、製紙メーカーが木を切りっぱなしにしている事実はなく、未だこのようなステレオタイプの説明が容認されているのは不思議でなりません。
そもそもデジタル情報は無形なので何の環境負荷もないと錯覚しがちですが、本当のところどうなのでしょう。
デジタル情報通信に必要なエネルギーは増加を続けており、全世界の温室効果ガスの排出源としては2019年時点ではまだ3.7%でしたが、このままいくと2040年までに14%を占めるまでに増加する可能性があるという指摘があります。
ペーパーレス化やデジタル化は合理性やメリットがある限り止めようがありません。
ただこれからはデジタルの環境負荷も無視すべきではないですし、紙を使用しないことが環境に良いと当たり前のように訴求するのは是非やめて欲しいですね。
木は伐採して植林することで若木はより多くのCO2を吸収する。
紙は再生も再生産も可能な資源です!
by ガンセキオープン