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矛盾を抱えた”ウェットなヤツ”

ウェットティシュは大変便利な製品で、日本では使い捨ておしぼりとか、赤ちゃんのおしりふきを思い浮かべますよね。
加えてコロナを機に除菌、消毒で使用するケースが以前より増えたかも知れません。
ウェットティシュはティシュとは言っても普通のティッシュペーパーではなく、ポリエステル、レーヨン、紙パルプなどの繊維から作られた不織布が基材です。

ところで、日本ではウェットティシュは水に溶けないのでトイレに流してはダメと常識的に理解しており、使用した後はゴミ箱に捨てますよね。
ところが世界ではそうでもないようで、使用後のウェットティッシュをトイレに流すケースが増えていて、欧米の大都市では大きな問題になっています。
コロナパンデミック以降、流される量はさらに増加し、下水パイプや下水処理場に滞留したウェットティッシュを除去するのに莫大な行政コストと、想像するのも恐ろしい人力による潜水除去作業が必要になっているそうです。

どうやら「紙っぽいから流せるだろう」とか「汚いからトイレに流してしまおう」といった認識不足と安易な考えによるようで、欧米では流せる製品(Flushable)を店頭では殆ど見かけませんでしたので、「そりゃ詰まるだろ!!」という感じです。

一方で「流せる」と謳ってはいるものの、分解速度が遅かったり十分に分解しない製品もかなりあって、何をして「流せる」とするかも議論になっているようです。
米国首都ワシントンDC市では、「流せる」の基準を初めて法制化しましたが、この基準が全米に拡大するのを恐れたか、某家庭紙超大手メーカーがこれを違憲として訴えるなど、「流せる」基準を巡って現地メーカーは神経質になってており、足並みも揃わないようです。
危機感を持った一部メーカーは「流すな」表示を自社製品に徹底することを自主的に申し合わせ、実際、同表示がない製品の流通を禁止する州も出てきてはいるようです。

とはいえ、環境意識の高まりから「水は貴重なので節約する」という世の中の大きな潮流と、コロナを経て高まった除菌、消毒意識による新たな清掃習慣は、ウェットティッシュの需要増加に着実に繋がっているようで、高齢化社会やペット社会も相まって「本当に流せる」ウェットティッシュの需要は世界的に高まるように思います。

もちろん水流もあってバラバラになるわけですが、水で素早く溶けなくてはならないのに水分を含みつつ強度も保つという矛盾を抱えたウェットティッシュって冷静に考えれば本当に難しい製品ですよね。
だからこそ、より良い製品を日本の技術で開発して、ウェットティッシュ社会の到来に先んじて世界に打って出てみたいです!

by  ガンセキオープン

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